コラム

人と大工の関係性が、郷土愛を育む。

人と大工の関係性が、郷土愛を育む。

生まれ育った地域で暮らし続けることや、
土地や名前、仕事などを親から子へと受け継いでいくこと。
その風習は、数十年前まで当たり前のように行われてきました。

しかし、時代が流れる中で社会やライフスタイルは大きく変化。
故郷を離れ、見知らぬ土地で新たな生活や仕事をはじめ、
家族を築いていく人々が増えてきました。

親子3代が暮らす大きな家よりも、
家族4人程度が暮らす手頃な家が求められるようになり、
地域との関わり方や家族の形式が変わっていく中で、
「郷土」や「継承」に対する考え方も変わっていったのです。

大工も、以前は「農家を営む山田さん」「伊藤さんの家の長男夫婦」など、
昔から馴染みのある人やその家族の家を建てるのが主流でした。
しかし最近では、街中で分譲住宅を見かけるように。

分譲住宅は、建設期間の短さや値段の安さ、
経験の浅い大工でも建てられるなどの利点はあるものの、
大抵、「誰が、どういう目的で住むのかを考える」部分が
すっぽりと抜け落ちてしまっている状態です。

私たちはこれまでに多くの家を建ててきましたが、
誰が住むのか想像すらできない家と、
その人の顔や名前、性格などを知っている人の住む家なら、
後者の方が自分の技術を十分に発揮できると感じています。

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大工と地域のみなさまが交流を重ね、
顔を見れば挨拶を交わし、お互いを名前で呼び合える関係を築くこと。
それは、良い家をつくる上で、
技術を磨き抜くのと同じぐらい大切なことです。

だからこそ私たちは地域の家守として、
「この地域が好き」「この街の人たちと仲良くなりたい」
そんな郷土愛が芽生えるような「交流の場」をつくってきました。

ギャラリーで開催しているイベントも、そのひとつ。
こども大工さんやアルバム制作、石鹸づくりといった定例イベントの他、
5月には講談師・神田松之丞氏によるイベントも企画するなど、
今後も、より地域のみなさまに楽しんでいただける行事を考案中です。

芦葉工藝舎はこれからも、地域のみなさまの期待に応えながら、
家づくりの技術を磨くと同時に、地域全体の郷土愛を育んで参ります。

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記事リスト
家という"物"を大切に扱うために。
"対話"ではじめる、大工の育成。
思い出を、"思い返す時間"を楽しむ。
住む人の愛情で変化する「家の寿命」。
絵を飾る。それだけで暮らしが変わる。
住むほどに、価値が磨かれていく家。
技術を継承し、存在を伝え続けるために。
千年を超えて受け継がれてきた日本の「黄金比」。
思い出を活かし、想いを受け継ぐ。
「家は道具である」という視点
木の「個性」を見極める在来工法。
目には見えない心地よさ。"素材感"を磨き抜く。
私たちが積極的に考える"パッシブデザイン"。
家守として、地域のためにできること。
伝統の技が息づく「現代の和室」。
光を取り込む知恵と工夫。
あえて「子ども部屋」をつくらない理由。
コミュニケーションを育む「本棚」。
美しさの基準をつくる、パウダールーム。
「現代の家守」が手がけるリノベーションとは。
風を感じて、家をつくる。
キッチンは"つくる場"から"過ごす場"へ。
実用的に楽しむ、現代の土間。
花を飾る。季節と暮らす。
庭の景色と、家づくりの関係性。
家具から家を考える、ということ。
新年を迎えるかたち。
年末の大掃除と、日頃のお掃除の関係。
霜降の季節に寄せて・・・暖かな家づくりと、薪ストーブの話。
「上棟式」という特別な時間。
私たちが地鎮祭(じちんさい)を大切にする理由。
大工として神社の仕事に関わるということ。
幸手の桜・権現堂桜堤
「現代の家守り」を目指して。古くて新しい挑戦。
新ブランド『芦葉工藝舎』について