手しごとのコラム

37. 大工たちが"一番"に望むこと。

37. 大工たちが

大工といえば、昔は「寡黙な職人」というイメージを持たれていました。
弟子への指導は「師匠の背中を見て学べ」という考え方が主流で、
お客様に対しても「完成品を見せて腕の良さを伝える」ことがほとんど。
業界全体で、「語り」や「親しみ」の部分が希薄だったように思います。

芦葉工藝舎では、そうした歴史にとらわれず、
人と人との関係性を深めることを大切にしてきました。

子ども大工さんをはじめとする地域交流イベントを開催したり、
若手の大工に指導する際はコミュニケーションを重視したりと、
「大工と大工」や「大工と地域」の関係を深めるため、
さまざまなことに取り組んでいます。

その中のひとつに、月に1度、大工だけが集って語り合う定例会があります。
基本的に役員は参加せず、現場で働く大工たちが自由に語り合う場です。
大工や社会人として成長するための情報共有や仕事の悩み相談など、
業務中にはなかなか話す機会がない意見を出し合います。

後から受け取る報告書によると、
どうやら彼らは、「お客様に喜ばれるために必要なことは何か」
について話すことが多いようです。

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引き渡しの際、お客様が涙を流して感謝してくれた話で盛り上がったり、
自分の技術によってお客様が喜んでくれたと実感したときの話をしたり、
お客様に言われて嬉しかった言葉を語り合ったり......

社歴も、性格も、技術も、それぞれ違う大工たちですが、
改めて話し合う場をつくることで、一様にやりがいを感じる瞬間は、
「お客様との接点を持ったとき」だとわかったのです。

定例会を続けるうちに大工同士の結束はますます固くなり、
今では全員が「お客様に喜んでもらいたい」と考え、
同じ方向を目指して仕事に取り組んでくれています。

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お金をいただくこと、技術を磨くことはもちろん重要ですが、
それ以上に、私たちが望んでいるのは、お客様の笑顔です。
みなさまの家を建てる際は、芦葉工藝舎の大工全員で精一杯取り組み、
一番の感動を与えられるよう頑張らせていただきます。

- 記事リスト
45. 美しさや特徴を引き立てる、柾目のレッドシダー。
44. 大工と人との関係を深める、「こども大工さん」。
43. 暮らす人の心に寄り添う、現代の「床の間」。
42. 日々触れる「建具」にこそ、一工夫を。
41. 地震大国で確立された「木組み」の技術。
40. 家と一緒に、季節を楽しむ。
39. 「和紙」の魅力、「壁紙職人」の腕。
38. 百年先まで続く価値を持つ「欅」の魅力。
37. 大工たちが"一番"に望むこと。
36. 家という"物"を大切に扱うために。
35. 人と大工の関係性が、郷土愛を育む。
34. "対話"ではじめる、大工の育成。
33. 思い出を、"思い返す時間"を楽しむ。
32. 住む人の愛情で変化する「家の寿命」。
31. 絵を飾る。それだけで暮らしが変わる。
30. 住むほどに、価値が磨かれていく家。
29. 技術を継承し、存在を伝え続けるために。
28. 千年を超えて受け継がれてきた日本の「黄金比」。
27. 思い出を活かし、想いを受け継ぐ。
26. 「家は道具である」という視点
25. 木の「個性」を見極める在来工法。
24. 目には見えない心地よさ。"素材感"を磨き抜く。
23. 私たちが積極的に考える"パッシブデザイン"。
22. 家守として、地域のためにできること。
21. 伝統の技が息づく「現代の和室」。
20. 光を取り込む知恵と工夫。
19. あえて「子ども部屋」をつくらない理由。
18. コミュニケーションを育む「本棚」。
17. 美しさの基準をつくる、パウダールーム。
16. 「現代の家守」が手がけるリノベーションとは。
15. 風を感じて、家をつくる。
14. キッチンは"つくる場"から"過ごす場"へ。
13. 実用的に楽しむ、現代の土間。
12. 花を飾る。季節と暮らす。
11. 庭の景色と、家づくりの関係性。
10. 家具から家を考える、ということ。
9. 新年を迎えるかたち。
8. 年末の大掃除と、日頃のお掃除の関係。
7. 霜降の季節に寄せて・・・暖かな家づくりと、薪ストーブの話。
6. 「上棟式」という特別な時間。
5. 私たちが地鎮祭(じちんさい)を大切にする理由。
4. 大工として神社の仕事に関わるということ。
3. 幸手の桜・権現堂桜堤
2. 「現代の家守り」を目指して。古くて新しい挑戦。
1. 新ブランド『芦葉工藝舎』について