12. 花を飾る。季節と暮らす。
「花を飾る」というと、フラワーアレンジメントや生け花のように、
何か特別な知識が必要なイメージがあって、
身構えてしまう方もいるかも知れません。
もちろん、そういった分野を学ぶことも、
暮らしを豊かにするひとつの方法ではありますが、
今回はもっと気軽なスタンスで生活の中に彩りや季節感を取り込んでいく。
そんなお話をしてみたいと思います。
私たちが家を建てる仕事をしている立場から、花の魅力を語るとするなら、
やはり「色」の話は外すことができません。
芦葉工藝舎の家は、無垢材や白壁などを基調としたナチュラルなカラーが基本。
これは、様々なテイスト・カラーのインテリアを柔軟に受け止めるためです。
色を楽しむという点では、シーズン毎にカーテンを変えることが、
最近よく聞かれる方法ですが、花はカーテンよりもっと気軽に、
短いスパンで色の変化が楽しめるアイテムだと言えます。
もちろん、今の時代、花屋さんに行けば、
いつでも好きな花が手に入ります。
でも、せっかくなら季節感を感じられる方が
楽しさも増すのではないでしょうか。
庭で育てた花や、散歩中に土手で出会った野草を摘み、
空き瓶や、使い古した食器にそっと飾ってみる。
そんな、簡単なことからはじめるだけで、
家の雰囲気や、季節の感じ方が変わってくるはずです。
また、花を飾ろうという気持ちは、そこに住む家族や、
訪ねてくるお客様の視線を意識することへもつながります。
玄関の下駄箱の上に。カウンターキッチンの片隅に。
リビングのテーブルの上に。トイレの窓辺に・・・
それぞれの場所で、どんな時間が流れるかをイメージすると、
花の選び方や飾り方にも、自分なりのこだわりや工夫が生まれてきて、
楽しさが大きく広がって行きます。
特に野の花は、同じ種類でも、咲いている場所やその年の気候によって、
実に豊かな個性と変化を見せてくれます。
こうした気づきと出会えることも、ちょっとした楽しみにつながっていきます。
「花を飾る」ということは、「季節と暮らす」ということ。
まずは難しく考えず、身近な草花に目を向けて、
花のある生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。