手しごとのコラム

8. 年末の大掃除と、日頃のお掃除の関係。

8. 年末の大掃除と、日頃のお掃除の関係。

風はすっかり冷たくなり、年の暮れを感じる季節になってきました。
お正月を迎える前に行う恒例行事と言えば、大掃除です。

大掃除の文化は世界中に存在しますが、年末に行うのは日本だけだとか。
忙しいこの時期、あえて大がかりな掃除を行うのには、
きちんとした意味があります。

そもそも日本のお正月とは、歳神(トシガミ)様を家にお迎えする行事。
その準備として、普段の掃除では行き届かない場所まできれいにするのが、
大掃除に込められた本来の目的です。

とは言え、家の隅々まで磨き上げる作業は、なかなかに大変。
神様に心から喜んでいただくためには、
日頃から掃除の習慣をつけておくことが大切です。

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「現代の家守り」である私たちは、
大掃除同様、日常的な掃除も日本の大事な風習だと捉え、
昔ながらの掃除方法や考え方を家づくりの現場に取り入れてきました。

作業場周辺の拭き掃除は毎朝欠かさず行い、
大工道具から現場にある仮設トイレの扱いまで、
身の回り品の掃除や整頓を徹底しています。

使用する木材は用途別に並べ、
木くずは捨てずに、散らからないようにひとまとめに。
定期的に近所の馬飼い主さんへ提供したり、
子供たちがカブトムシの家を作ったり、無駄なく活用しています。

無垢材、和紙、土壁など無機質の素材を扱っているため、
ほこりが立ちにくい、というのも特徴です。

手間に感じるかもしれませんが、整理整頓すると作業効率は上がり、
こまめな掃除は、小さな傷や変化にいち早く気づくきっかけになる。
結果的に、家やものを長持ちさせることにつながるのです。

これは私たちの作業現場に限らず、みなさまの生活でも同じことが言えます。

近年はロボット掃除機などの技術が発達し、
自動的に掃除をしてくれる道具がずいぶん増えました。
大掃除を行わずとも、きれいな状態は保てるかもしれません。

しかし、自分の手で直接触れながら掃除をすると、
愛着が沸き、自然と長く使う習慣が生まれてきます。

床を傷つけないよう箒を使って掃く。
細かい汚れまで取り除くよう、固くしぼった雑巾で、
上から下へ、奥から手前へ、隅から中央への順で磨く...
これらは、今すぐにでもはじめられる,
手軽な方法のひとつです。

長く住み続けられる家とは、建築技術に加え、
住んでいる人の習慣によっても、育まれていくもの。
今年の大掃除はぜひ、そのことを少しだけ思い出してみてください。

- 記事リスト
101.「軒」を深くすることで生まれる、優雅な佇まいと快適な暮らし。
100.「手しごとのコラム」が、掲載100回目を迎えました。
99.旅先での美しい思い出を、住まいの空間に取り入れる。
98.「教える」とはまた違う、「支える」という育成制度。
97.さまざまな国の建築文化を、日本の住宅にどう取り入れるか。
96.「入母屋」の技術を受け継ぐ私たちだから、提案できること。
95.地域の空き家問題を解決へと導く、「家の再生」。
94.家の中と外の景色をやさしく結ぶ「ヌック」という空間。
93.木を自由に操る大工が手がける、芦葉工藝舎の「バレルサウナ」。
92.家族と一緒に考え、つくる「ペットが快適に暮らせる家」。
91.一年点検で、住んでから気づく「理想の住まいの条件」を叶える。
90.風通しのいい環境が、共に働く仲間への愛を育む。
89.省エネ性能とお客さまの想い、どちらも大切にするために。
88.時代を超えて愛される和室の魅力を、つくり続けるために。
87.「人の感動を生み出す建築」を知る、一泊二日の研修旅行。
86.2023年春、若きふたりの社員を新たに迎えました。
85.鉄筋コンクリートの魅力に、木の温もりを加えたコンセプトハウス5がまもなく完成。
84.2023年の幕開け。明けましておめでとうございます。
83.素材を守りながら一年の汚れを落とす、職人の腕。
82.芦葉工藝舎の「オーダーキッチン」で、真の自由を追求する。
81.「欅」の薪をくべ、温もりを感じ、香りを楽しむ。
80.「家でもサウナで"ととのいたい"」を叶える、コンセプトハウス5。
79.【求人募集】芦葉工藝舎では、新たな仲間を募集しています。
78.その家が最も美しく写る瞬間を見極める、写真家の腕。
77.お客さまが「期待を寄せる現場」であり続けるために。
76.地域に馴染み、人々で賑わう「テナント」を生み出すために。
75.住まいの清潔を守る、玄関の手洗いスペース。
74.リアルな現場の姿にこそ、芦葉工藝舎の価値がある。
73.街の景色をつくりかえる。コンセプトハウスという挑戦。
72.家中をやわらかな暖でつつみこむ、「薪ストーブ」。
71.現代の暮らしに必要な条件が叶う「平屋」の家。
70.空に想いを馳せながら過ごす。「月見台」のある家。
69.お客さまの声から伝わる、家守と住む人の関係性。
68.家の中へ風を招き、涼を感じる「簀戸」の魅力。
67.空間の美しさを引き立てる、「照明」へのこだわり。
66.家の美しさを引き立てる、ある「作庭家」の話。
65.木材を、余すことなく、家と地域に還元していく。
64.棟梁は、完成後もずっと、お客さまと関わっていく。
63.真の美しさを求めるには、まず自らの仕事場から。
62.街の新しい景色をつくる。2棟目のコンセプトハウス
61.現場での行動が、地域の風景になる瞬間。
60.相手への思いやりが、成長をつくる。
59.土間を活かして、暮らしを満喫する。
58.アウトドアリビングで、日常に新鮮さを。
57.仕事をする空間を、暮らしの中に創って行く。
56.庭から生まれる、暮らしの価値。街の景色。
55.これからも、地域の場であり続けるために。
54.「育てる」ことで気づく、己の成長。
53.家に対する愛着を、のこして、新しく。
52.日本人が慣れ親しんだ、やわらかな灯り。
51. 120年前の大工が込めた想いを紐解く。
50.手づくりのコラム 50回掲載の節目によせて
49.「ギャラリー」は、地域の人たちの交流地点。
48.木と共に経年変化していく、「革細工の引手」。
47.地域工務店が生み出す、出会いの場、地域の輪。
46. 「豊かな住まい方」を提案するコンセプトハウス
45. 美しさや特徴を引き立てる、柾目のレッドシダー。
44. 大工と人との関係を深める、「こども大工さん」。
43. 暮らす人の心に寄り添う、現代の「床の間」。
42. 日々触れる「建具」にこそ、一工夫を。
41. 地震大国で確立された「木組み」の技術。
40. 家と一緒に、季節を楽しむ。
39. 「和紙」の魅力、「壁紙職人」の腕。
38. 百年先まで続く価値を持つ「欅」の魅力。
37. 大工たちが"一番"に望むこと。
36. 家という"物"を大切に扱うために。
35. 人と大工の関係性が、郷土愛を育む。
34. "対話"ではじめる、大工の育成。
33. 思い出を、"思い返す時間"を楽しむ。
32. 住む人の愛情で変化する「家の寿命」。
31. 絵を飾る。それだけで暮らしが変わる。
30. 住むほどに、価値が磨かれていく家。
29. 技術を継承し、存在を伝え続けるために。
28. 千年を超えて受け継がれてきた日本の「黄金比」。
27. 思い出を活かし、想いを受け継ぐ。
26. 「家は道具である」という視点
25. 木の「個性」を見極める在来工法。
24. 目には見えない心地よさ。"素材感"を磨き抜く。
23. 私たちが積極的に考える"パッシブデザイン"。
22. 家守として、地域のためにできること。
21. 伝統の技が息づく「現代の和室」。
20. 光を取り込む知恵と工夫。
19. あえて「子ども部屋」をつくらない理由。
18. コミュニケーションを育む「本棚」。
17. 美しさの基準をつくる、パウダールーム。
16. 「現代の家守」が手がけるリノベーションとは。
15. 風を感じて、家をつくる。
14. キッチンは"つくる場"から"過ごす場"へ。
13. 実用的に楽しむ、現代の土間。
12. 花を飾る。季節と暮らす。
11. 庭の景色と、家づくりの関係性。
10. 家具から家を考える、ということ。
9. 新年を迎えるかたち。
8. 年末の大掃除と、日頃のお掃除の関係。
7. 霜降の季節に寄せて・・・暖かな家づくりと、薪ストーブの話。
6. 「上棟式」という特別な時間。
5. 私たちが地鎮祭(じちんさい)を大切にする理由。
4. 大工として神社の仕事に関わるということ。
3. 幸手の桜・権現堂桜堤
2. 「現代の家守り」を目指して。古くて新しい挑戦。
1. 新ブランド『芦葉工藝舎』について