30. 住むほどに、価値が磨かれていく家。
"高級感のある空間"と聞くと、
みなさんはどんな空間をイメージするでしょうか。
シャンデリアやアンティークの家具が並ぶクラシカルな客間、
ホテルのスイートルームのようなラグジュアリーなリビング、
伝統的な床の間がある和室、ハイブランドショップの店内......
世の中にはさまざまなジャンルの高級感が存在し、
その定義は国や時代、人々の価値観によって千差万別。
そこで今回は、芦葉工藝舎が考える高級感についてお話ししたいと思います。
私たちにとって高級感とは、
豪華な造りや高級素材をふんだんに使うことではなく、
人が長く住み続けることによって、より価値を増したもののこと。
みなさんは、寺院や神宮、お城のような何千年も前に建てられた建物に、
"神々しさ"や"威厳"を感じることはありませんか。
人々に長く大切に使われることで生み出されたあの空気感こそ、
私たちが考える最上の価値なのです。
どんな家も、完成した瞬間は新鮮で美しい空気をまとっていますが、
その"新しさ"は、限定的な価値でもあります。
完成時の美しさがその家の最高の状態なのではなく、
人が住み続けることで、より魅力が増していく家をつくりたい。
そう思って私たちは、常に"本物であること"にこだわってきました。
国産の杉や檜、和紙など"本物の素材"だけを選び、
何代にもわたって受け継がれた"本物の技術"を使って建てていく......
そうやって家全体を洗練させることで、木材の湾曲や変色など、
家全体の経年変化さえも美しいと感じる家をつくってきたのです。
先述した神社仏閣の他にも、
何百年と大事に守られてきたことで情緒を増した京都の街並み、
長く熟成させることで味に深みがでるワイン、
使い込むほど味わいがでる革素材の鞄......
年月が経つにつれて、"古くなる"のではなく"良くなる"ものはたくさんあります。
私たちの手がける家も、年月と共に魅力が増す存在でいられるよう、
これからもずっと技術を追求して参ります。